ご挨拶~2021年3月第1回開催へ向けて
2020年3月上旬、一ヶ月後に第一回芦屋国際音楽祭を控えていた私は音楽祭の開催を信じて準備を続けていましたが、日本でのコンサートが次から次へと自粛になり、その後ヨーロッパもロックダウンが決行され、外国人アーティストの日本入国さえままならない驚くべき事態が起きたところで開催を見送る決定を下しました。
このコロナ禍がいつになったら落ち着くのか、世界中で様々な見解が発表され希望が見え隠れする状況が続き、フレキシブルに生きることを余儀なくされた月日が流れています。
私たち音楽家は以前のようにコンサート活動で様々な国を訪れることが難しくなりましたが、その反面インターネットでの音楽配信が盛んに行われるようになったことでインターネットを通じて世界中に音楽を届ける機会が増えました。それはそれで素晴らしいことですが、コンサート会場で繰り広げられる演奏者と観客の一体感や緊張感を感じることは出来ません。
コロナ禍で人との繋がりに制限が設けられ人との接触が減った今、ライブコンサートで音楽を通した心の繋がりを感じることは私たちに活力や安らぎを与えてくれるように思います。
来年の“第一回“音楽祭には今年参加してくれる予定だった音楽家全員が集結します。ヨーロッパからの入国問題、コロナの感染拡大など開催までに乗り越えなければならない壁はあるかと思いますが、来年こそは芦屋国際音楽祭の第一回開催を心から願い、皆様と会場で音楽を分かち合える日が来ることを楽しみにしております。
2020年12月 日下紗矢子